身内の方がお亡くなりになった場合、まずは通夜や葬儀の準備に追われますが、葬儀後にもさまざまな手続きを行う必要があります。
ご遺族の方は息をつく間もなく、心身ともに疲労が重なりやすい時期ですが、葬儀後の手続きの中には、期限が設けられているものもあります。なるべく速やかに着手することをおすすめします。
今回は、葬儀後の手続きの内容や期限についてくわしく解説いたします。
目次
年金受給停止
故人が年金を受給していた場合、「年金受給権者死亡届」を提出し、年金受給停止の手続きを行う必要があります。
手続きする場所や期限は年金の種類によって異なり、国民年金の場合は住所地の市町村役場にて死亡日から14日以内に。厚生年金の場合は社会保険事務所にて死亡日から10日以内に手続きを済ませます。
手続きには、年金受給者死亡届と故人の年金証書のほか、除籍抄本や死亡診断書のコピーなど、死亡の事実を明らかにできる書類が必要です。
ただし、日本年金機構に住民票コードを登録している方は、死亡届の提出を省略することが可能です。
なお、未支給分の年金は、故人と生計を共にしていた遺族が受給できます。
年金受給停止の手続きを行うと同時に、未支給年金請求の届出も合わせて提出しましょう。
年金受給停止手続き
・手続き場所:国民年金(市町村役場)/ 厚生年金(社会保険事務所)
・必要書類:年金証書・除籍謄本・死亡診断書のコピーなど
・期限:国民年金の場合は死後14日以内 / 厚生年金の場合は10日以内
介護保険資格喪失届
故人が65歳以上、または40歳以上65歳未満で要介護認定を受けていた場合、介護被保険者証の返還手続きを行います。
手続き期限は死亡日から14日以内で、市区町村福祉課などの窓口へ介護保険資格喪失届と介護被保険者証を提出します。
介護保険資格喪失届の提出
・手続き場所:市区町村役場
・必要書類:介護保険資格喪失届・介護被保険者証
・期限:死亡後14日以内
住民票の抹消届
市町村役場の戸籍・住民登録窓口にて、住民票抹消届を提出し、故人を住民票から削除してもらう手続きです。
死亡届の提出によって自動的に処理されるため、とくに手続きは不要ですが、故人が世帯主だった場合、世帯主変更届の提出が必要です。
世帯主変更届は、世帯主である故人が亡くなられてから14日以内に、届出人の印鑑と本人確認書類を添えて提出します。
住民票の抹消届(世帯主変更届)の提出
・手続き場所:市区町村役場
・必要書類:届出人の印鑑・本人確認書類
・期限:死亡後14日
雇用保険受給資格者証の返還
故人が生前に雇用保険を受給していた場合、死亡日から1ヶ月以内に雇用保険受給資格者証の返還手続きを行う必要があります。
雇用保険を受給していたハローワークにて、受給資格者証と死亡診断書、住民票を持参して手続きを行いましょう。
雇用保険受給資格者証の返還手続き
・手続き場所:雇用保険を受給していたハローワーク
・必要書類:受給資格者証・死亡診断書・住民票
・期限:死亡後1ヶ月後以内
団体信用生命保険金の請求
故人が住宅ローンなどを組み、団体信用生命保険の被保険者だった場合、死亡日から2ヶ月以内に団体信用生命保険金の請求手続きを行います。
手続きには、亡くなった年の源泉徴収票や、除籍謄本、相続関係相関図、死亡診断書のほか、受取人の印鑑証明と戸籍抄本も必要です。
団体信用生命保険の加入先である各金融機関が窓口になります。手続きの流れや必要な書類について問い合わせてみましょう。
団体信用生命保険金の請求手続き
・手続き場所:加入先の各金融機関
・必要書類:亡くなった年の源泉徴収票・除籍謄本・相続関係相関図・死亡診断書
受取人の印鑑証明・戸籍抄本
・期限:死亡後2ヶ月以内
相続放棄・限定認証の手続き
被相続人に借金がある場合では、相続放棄や限定認定を検討する必要があります。
相続放棄を行うと一切の資産・負債を相続することはありません。
また、限定認定では資産超過のプラスとなった資産だけを相続します。
相続放棄・限定認証の手続き
・申請先:被相続人の住所地の家庭裁判所
・必要書類(相続放棄の場合):被相続人の除籍謄本・被相続人の住民票・申述人の戸籍謄本
・必要書類(限定認定の場合):被相続人の出生時から死亡時までの戸籍謄本」
その他の戸籍謄本類・財産目録
・期間:被相続人の死亡を知ってから3ヶ月以内
・費用:収入印紙800円・郵便切手代金
所得税準確定申告・納税
故人が生前に事業者などで確定申告を行う立場だった場合は、相続人が故人に代わって確定申告を行う「準確定申告」を行う必要があります。
通常の確定申告は、その年の1月1日~12月31日までに生じたすべての所得を、翌年の2月16日~3月15日までの1ヶ月間に申告しますが、準確定申告は納税者の死亡日から4ヶ月以内に申告し、納税を済ませる必要があります。
手続きは故人の住所地の税務署または勤務先で、死亡した年の1月1日~死亡日までの所得の申告書のほか、必要に応じて生命保険料控除証明書や医療費明細書などを用意します。
各種控除額より所得が上回った場合、準確定申告後、税金の納付を行います
所得税準確定申告・納税手続き
・手続き場所:管轄の税務署
・必要書類:生命保険料控除証明書・医療費明細書など
・期限:死亡後4ヶ月以内
国民年金の死亡一時金の請求
故人が国民年金を受け取っていた場合は、遺族は死亡一時金を請求することができます。
国民年金の死亡一時金請求
・手続き場所:市区町村役場・年金事務所・年金センター
・必要書類:故人と申請者の関係がわかる戸籍謄本・故人の住民票除票
申請者の世帯全員の住民票・振込先銀預金通帳
・期限:死亡後2年
葬祭費・家族葬祭費の請求
故人が国民健康保険の被保険者だった場合、葬祭費給付金制度を利用して葬祭費を請求することができます。
給付額は自治体によって異なりますが、国民健康保険加入の場合は5~7万円、後期高齢者医療制度加入の場合は3~7万円です。
いずれの場合も申請期間は死亡日から2年間で、市町村役場の保健年金課で手続きを行います。
なお、手続きには葬祭費請求の申請書のほか、故人の国民健康保険証、葬儀社の領収書、印鑑、葬祭費受取人の振込口座番号が必要です。
葬祭費・家族葬祭費請求手続き
・手続き場所:故人が住んでいた市区町村役場
・必要書類:故人の健康保険証・葬儀社の領収書・印鑑・葬祭費受取人の振込口座番号
・期限:葬儀から2年以内
埋葬料の請求
故人が組合健保や協会けんぽに加入していた場合、健康保険から埋葬料として給付金が支払われます。
給付額は一律5万円ですが、組合によっては独自の付加給付を設けている場合もあります。
なお、埋葬料は葬儀の有無にかかわらず給付されますので、葬儀を行っていない場合や、葬儀を行う予定がない場合でも請求することが可能です。
埋葬料の請求手続きの期限は死亡日から2年です。生命保険同様、忘れずに手続きを済ませましょう。
手続きする際は、埋葬料請求書や死亡診断書の写し、健康保険証、印鑑、埋葬料の振込口座番号のメモなどを用意し、健康保険組合または社会保険事務所に提出します。
埋葬料請求手続き
・手続き場所:加入している健康保険組合・協会けんぽ
・必要書類:健康保険埋葬料請求書・健康保険証・死亡診断書(コピー可)・埋葬費用の領収書
・期限:死亡後2年以内
高額医療費の還付請求
高額医療費の請求は被保険者が亡くなってからでも請求できるため、対象となる医療費の支払いから2年以内に手続きを済ませましょう。
手続きには高額医療費の申請書と、高額医療費払い戻しのお知らせ案内書、健康保険証、医療費等の領収書、印鑑、受取人の口座番号がわかるものを用意します。
なお、70歳以上の方は、医療機関窓口で高齢受給者証や後期高齢者医療費保険証を提示すれば、自動的に支払額が自己負担の上限額まで抑えられるため、別途申請手続きを行う必要はありません。
高額医療費の還付請求手続き
・手続き場所:加入している健康保険組合・協会けんぽ・市区町村役場
・必要書類:医療費の明細書
・期限:医療費支払から2年以内
生命保険金の請求
故人が死亡保障付きの生命保険に加入していた場合、保険会社宛に生命保険金を請求する手続きを行います。
手続きに必要なものは保険会社によって異なりますが、一般的には死亡保険金請求書とともに、保険証券や直近の保険料領収書、故人と保険金受取人の戸籍謄本、死亡診断書、受取人の印鑑証明書などを準備します。
保険会社に問い合わせれば、くわしい手続きの流れや方法を教えてもらえるため、落ち着いたら担当者に連絡を取りましょう。
なお、生命保険金の請求手続きは死亡日から2年以内に行う必要があります。
生命保険金の請求手続き
・手続き場所:加入している保険会社
・必要書類:保険会社による
・期限:死亡日から2年以内
遺族年金の請求
遺族年金には、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」があります。
遺族基礎年金は、国民年金に加入中の人が亡くなった場合、その人によって生計を維持されていた18歳未満の子を持つ配偶者、または子に支給されます。
遺族厚生年金は、厚生年金に加入中の人が亡くなった場合、その人によって生計を維持されていた遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母)の中で優先順位が高い人に支給されます。
遺族年金の受給条件
遺族年金には、2つの受給条件があります。
1. 公的年金加入期間を考えた時、2/3以上の期間で納付あるいは免除されていること
2. 亡くなった月の前々月までの1年間で未納がないこと
受給条件さえ満たしていれば、遺族厚生年金受給者は遺族基礎年金も受け取ることができます。 遺族厚生年金を30歳未満の子のない妻が受給する場合、5年間の有期給付になります。
この他、夫、父母、祖父母が受給者の場合は、 死亡時において55歳以上でなければならず、支給開始は60歳~。夫は遺族基礎年金受給中に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できるという条件もあります。
遺族年金の請求手続き
・手続き場所:年金事務所
・必要書類:年金手帳・戸籍謄本・故人の住民証の除票・世帯全員分の住民票の写し
請求者の収入を確認できる書類・子供の収入を確認できる書類・死亡診断書のコピー
振込先の金融機関通帳・印鑑
・期限:死亡後5年以内
まとめ

葬儀を終えた後、遺族が行わなければならない手続きは多岐に亘ります。
とくに年金受給停止や介護保険資格喪失届などは、死亡日から14日以内に手続きしなければならないため、葬儀後、速やかに行動する必要があります。
葬儀後の手続きなどについてわからないことがありましたら、専門家や市区町村の窓口などに相談し、然るべきサポートを受けることをおすすめします。
信成寺会館では、葬儀はもちろん、法事や法要、遺品整理、遺言・相続など、さまざまなご相談を承っております。
経験・実績豊富なスタッフが親身になって対応いたします。葬儀前・後の手続きについてわからないこと、不安に思うことがありましたら、お気軽にご相談ください。